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相続放棄の使いどころ

 今日は,毎月行われている市内の無料相談会の予習をしました。無料相談会の定番ネタといえば,相続・遺言であります。今日は相続のご相談におこたえするという想定のもとで勉強をしてみました。

 想定したケースは,奥さんと子供さん二人(嫡出子・独立済み)を残してお父さんが亡くなられたというものです。子供さんとしては,もう立派に独立してそれぞれ元気にやっているので,遺産はお母さんが全部相続すればいいよ,俺たちは何もいらない,ということです。さて,どうするか。

 とりあえず相続放棄という言葉が頭をよぎりますね。でも相続放棄って家庭裁判所に行って申述しないといけませんからビミョーに面倒です。相続人も少ないし,円満に話がまとまっているようですから,サクサクッと遺産を奥さんに集中させる趣旨の遺産分割協議書を作った方が早いかもわかりません。

 それではどんなときに相続放棄を使った方がよいのか,ということについて考えてみたいと思います。

 まずは,相続債務があって,それを負担したくない場合です。残された財産より,負債の額の方が上回る場合はもちろん,プラス財産の方が多い場合も,相続債務を確実に免れようと思ったら相続放棄をしたほうがいいのではないかと思います。どうしてかというと,東京高裁の昭和37年4月13日決定という裁判例があるからなのであります。この裁判例は,「遺産分割協議で決まるのは積極財産だけ。消極財産(負債)は相続開始と同時に共同相続人に相続分に応じて当然分割承継される。」という趣旨のことをいっております。

 これが具体的にどういうことかというと,プラス財産が5千万円,負債が1千万円あったとしますね。奥さんが全財産を相続するという遺産分割協議をして,相続放棄をしなかったとすると,奥さんがプラス財産5千万円,それに負債を500万円相続し,お子さん達はプラス財産ゼロに,負債をそれぞれ250万円ずつ相続する,ということです。

 それじゃお子さん達が相続放棄するとどうなるかというと,相続放棄によって奥さんの単独相続になりますから,プラス財産5千万と負債1千万,すべて奥さんが相続します。

 ほかに相続放棄の方がいいとき,というのは,税金対策の観点から,ということになりましょうか。相続税や贈与税のお話ですので,具体的な話は税理士の先生に相談しながら,ということになりましょう。遺産の額が大きいときには慎重な考慮が必要ですね。特に遺言があって,その遺言の内容と異なる遺産分割協議をしたような場合には要注意であります。

 というのも,遺言の内容と異なる遺産分割協議がなされた場合,税務署は遺言の内容通りに相続が行われ,その後遺言の内容より少なくもらった相続人から多くもらった相続人に贈与が行われた,ととらえて課税してくるらしいのであります(遺言執行の法律と実務 222ページ)。そんなことされたら,相続税払ったうえに贈与税まで払わなくてはならないかもしれず,アイタタタでありますので,税理士さんといろいろシミュレーションをしながら,納得のゆく方法を模索すべきでありましょう。その際に,相続放棄をすると,贈与とみなされる額が少なくなる可能性があります。相続放棄はさすがの税務署も贈与とはいいませんが,他の相続人の相続分が増える効果はバッチリ発生するからです。それが損か得かは場合によりけりでしょう。

 そんなわけで,相続放棄もツールの一つとして道具箱に常備しておくべきではないかと思うのであります,使うかどうかは別として。

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