ワタクシが田舎在住だからでありましょうか。お隣りの土地との境界線でもめている,ということは意外と多いのだそうであります。
その原因の多くは昔のいい加減な測量で,なんとなくウヤムヤになっていたのが相続を機に表面化したりするわけでありますが,同じ土地について異なる図面がいくつもあり,代替わりした当事者でワケワカメになっていたりして泥沼化するということです。
そんなときには,一昔前までは境界確定訴訟といって裁判で決めてもらっていました。いちいち訴訟っていうのも激しく面倒じゃないか,ということで,最近できた筆界特定制度などを利用すると法務局が現地調査に来てとりあえず決めてくれます。
法務局の特定の結果次第によっては得する人も損する人も出て来そうなところですが,法務局による特定は単なる事実の確認であって,特に法的効力はないとされていて,当事者の実際の権利に影響は出ません。したがってこれは行政処分ではないということになり,取消訴訟で争うことができないとされています。じゃあ不服がある人はどうするの,というと,今まで通り境界画定訴訟を提起して,裁判所に決めてもらうわけです。
法的効力が生じないんなら,そんなのやっても意味ないんじゃないのー,という気がうっすらとしてまいりますね。しかし民事では当事者が納得すればそれでオッケー,というのが基本であります。普通の測量士さんに頼んでも,お隣りさんは「お前がつれてきた測量士なんぞ信用できるかー!!」とおっしゃるに決まっております。でも法務局が関係当事者から資料を集めて,それぞれ言い分も聞いて,測量もして,その上で判断するというのであれば,納得できる可能性はグンとアップというわけです。おまけに裁判じゃないので頼みやすいですね。コスト面でも大変お得,というわけであります。そういう意味で紛争解決に資することを期待された制度です。
境界特定訴訟でキッチリ片を付けるのもよろしいんですが,最初に申しましたように,境界問題というのはたいてい昔の測量が原因なわけです。数十年間自分の土地と信じていたけど,実は他人の土地だったらしい。そんなとき,民法のアレが心に浮かんできませんか? そう,取得時効ですよ奥さん!!
ワタクシでしたら,法務局の特定した境界に不満があったら,境界確定訴訟をおススメする前に,それを前提にして時効取得が成立してないかを検討しますねー。イケルという場合がけっこう多いんじゃないでしょうか。
もっとも,だからといって速攻で時効援用の内容証明,というのもいけないと思うのであります。時効を援用して隣りの土地を手に入れたとしましょう。ハッキリ言ってもうお隣りとの人間関係は修復不能であります。今後その土地で暮らしていくのは非常にストレスがたまることでありましょう。ですので,時効援用をするのはその土地を処分するつもりである,というのが前提となると考えます。
もし今後ともその土地で暮らしていきたいのだったら,取得時効の件を武器に交渉を進めることがおススメであります。「筆界特定の結果では,問題の土地はそもそもあなたの土地だったようです。しかしワタクシはこの土地を自分の所有地と信じてウン十年,自分のもののように占有してきました。したがってワタクシはこの土地を時効取得できるのです。でもそれではあまりにも申し訳ないと思っています。そこでどうでしょう,今までのことは水に流して,○○万円でワタクシが問題の土地をあなたから買い取る,という形にさせていただけないでしょうか。この金額で納得していただければ,ワタクシは時効の利益を放棄するつもりです。」とかなんとか。まあ,うまくいく保証はありませんがね。
以上思いつくままツラツラと書いてみましたが,鵜呑みしないでくださいね,というお願いはいつもの通りであります。
また,境界確定訴訟と筆界特定制度について,とても有益なページを発見しましたので興味のある方はこちらからご覧下さい。
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