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病床数削減勧告処分の取消訴訟(3)

 病床数削減勧告をもらい,その勧告に不服がある場合には,なぜ対応を急ぐ必要があるかというと,この病床数削減勧告というものが行政事件訴訟法3条2項の「処分」にあたる,と平成17年の最高裁判決が結論づけたことが理由です。処分を争うのは取消訴訟によらなければならず,取消訴訟は出訴期間に制限があります(14条)。だから急がないといけないんですね。弁護士に依頼するにしても,今日頼んで明日裁判所に訴状を出すわけにもいきませんから,準備の時間も必要です。グズグズしている暇はありません。

 処分というのは,「公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち,その行為によって,直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているもの」のことで,そのキモは①公権力性と②法的効果の直接具体性である,というふうに学校では習うのですが,無理を承知で日常用語ひとことで表すならば,要するに「ムリヤリ」ということです。

 それで病床数削減勧告はムリヤリなのか,というのが問題になり(キモの②が争われました),1審・2審とも勧告は「お願い」であって「ムリヤリ」ではないと判断しました。でもね,例えば,道ばたでコワイおじさんに1万円貸して,と「お願い」されたとします。おじさんは拳銃を構えていて,「これはあくまでお願いだからあなたにはオレに1万円貸す義務はないけれども,お願いをきいてくれなければオレはあなたを射殺する」と言っています。これってフツーはお願いをきかざるをえない状況なわけで,そんな「お願い」はお願いじゃなくて「ムリヤリ」ですよね? 平成17年の最高裁判決は,大意そんなことを言って病床数削減勧告はムリヤリだと判断したわけです。

 とはいっても,「お願い」を無視した後にそれが原因で不利益が生じたとしても,すべての「お願い」が「ムリヤリ」になるかというと,そういうわけでもないのが悩ましいところであります。ワタクシが弁護士だったら,この「お願い」は実質的に「ムリヤリ」であるという前提で取消訴訟をする一方で,かりに「お願い」であったとしても,「お願い」を無視したことによって不利益な扱いを受けないことの確認訴訟(行訴法4条の当事者訴訟)を予備的に提起するんじゃないかと思います。

 処分性が認められてしまえば取消訴訟しか使えないわけですから,これはホントに「お願い」かもしれん,と思っても一応保険として取消訴訟をやっとかないと不安になってしまうのではないかなぁ。

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