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妄想超特急:特定遺贈で遺産債務をパージ(2)

 前回の記事にはオオワシさんからコメントをいただきました。担保権が設定されていればこのスキームがワークしない点についてはオオワシさんのご指摘の通りであります。

 では,この事案で担保権者のほかに一般債権者がいる場合や,債権者がすべて一般債権者である場合(身内の義理で無担保融資していた金持ちの親戚とか)はどうでしょうか。詐害行為取消権については,ワタクシも考えたのですが,まだ結論は出ていません。

 まず,詐害行為取消権の要件事実を「要件事実マニュアル 上巻 第2版 (1) 」(ワタクシが持っているのは旧版です)で確認してみますと,本件では

① 取消債権者の債権の発生原因事実
② ①が④よりも前に発生していたこと
③ ①の債権額
④ 債務者が財産権を目的とする法律行為をしたこと
⑤ ④の法律行為が取消権者を害すること
⑥ ⑤につき債務者の悪意

 ということになりましょうか。424条の条文では受益者・転得者の悪意が必要とされますが,条文の形式や公平の見地から受益者・転得者の善意(遺贈によって債権者が害されることについての)は抗弁で主張されることになっています。

 このうちワタクシが疑問に思ったのは,②の要件です。遺贈は単独行為で,意思表示の成立時期は遺言をしたときですが,効力発生時期は遺言者の死亡時です。法律行為をした時期は,遺言時と死亡時のどちらなのでしょうか。死亡時だったら問題ないのですが,遺言時とすると,遺言を作ってからお金を借りれば詐害行為取消権から逃れられることになります。

 次に気になったのは抗弁事実の受益者の善意なのですが,遺言が自筆証書遺言でなされており,作成に関与した行政書士が遺言書を年間5千円であずかっていたとか,秘密証書遺言でなされていたとか,公正証書遺言でも形見分けの際に謄本が出てきたとかの事情が立証されれば,遺言の効力発生時期である死亡時には,受益者Cは遺言書の中身を知りうる立場になかったといえる可能性があります。

 そんなわけで,詐害行為取消権が常に使えるというわけでもなさそうだ,という印象を持った次第であります。

 仮にワタクシが一般債権者の立場に立ったとしたら,詐害行為取消とともに遺言の解釈に難癖をつけるかもしれません。

 「特定遺贈とか言っているが,債権者を害する目的で特定遺贈をすることは債権者との信義に反し権利濫用であって許されない。してみれば本件遺言は遺産分割方法の指定にすぎないと解すべきであり,Cも相続人として債務を承継すると解するのが相当である。」

 ・・・とかなんとか。でも遺贈自体が信義則違反とか権利濫用とされた裁判例は見つからないんですよねー。ワタクシと同じようなことを思いつき,実際にチャレンジして失敗した人がいてもよさそうなものなのですが。

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