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日本の協議離婚の海外での有効性(1)

 今日は,日本法に関する英語のウェブサイトをあれこれ読んでいて,なかなか面白い事件に出会いました。

 突然ですが,ある日読者様の事務所に外国人女性が相談にいらしたとします。「私は日本人と結婚しています。結婚したのは日本で,婚姻届も出しました。このたび離婚することになり,離婚の条件などの合意もまとまりました。離婚の手続きはどのようにしたらよいでしょうか。」というご相談です。みなさんでしたらどのようなアドバイスをされますか?

 公正証書の話や在留資格の話をする前に,とりあえず「離婚自体は離婚届を出せばそれでオッケーですよ」という答えをしたくなっちゃう方はご用心という話であります。

 今日ワタクシが見つけた面白い事件というのは,日本で協議離婚が成立した男女についてです。日本では合意に基づいて離婚届が出ている以上有効に離婚が成立しておりますが,その有効性がイギリスで問題になったという事案です。

 海外ではそもそも離婚を認めなかったり,離婚はできるけれど裁判所の手続による必要があったりすることが多く,日本の協議離婚のように当事者の合意だけで離婚ができるという制度はあまりありません。それで「協議離婚のようにいい加減な離婚の効力を認めてよいのか」という疑問を外国の裁判所は持つ,という背景があるのであります。イギリス法ではイギリス国外での離婚の承認要件を,行為地の「手続き」による場合とよらない場合にわけて,手続きなしの離婚の場合には要件が厳しくなっています。そして,日本の協議離婚は「手続きによらない離婚」として扱われるだろうという予想に反し,イギリスの高等裁判所は日本の協議離婚を「手続による離婚」にあたると判断したそうです(H v H,2006年9月14日,EWHC2989)。

 ワタクシは判決の原文をまだ読んでいないのですが,当初ワタクシは,事件の男女は離婚の際に立会人も付けて離婚給付契約公正証書を作ったとか,手続きチックなことをしたのではないかと思っていました。でもさらに調べてみると,どうやら「離婚届の提出」が「手続き」に該当するという判断だったようです。

 イギリスでは今回オッケーでしたけど,他の国の裁判所でどういう判断がされるかはよくわかりませんね。相談者の出身国では裁判離婚しか認めていない場合,相談者の離婚が本国で認められず,今後再婚できなくなってしまうかもしれません。国際離婚の場合には,よく調べてから手続きを選択する必要がありますね。協議離婚について,日本で育ったワタクシ達は何とも思いませんが,世界的にはかなり胡散臭い制度と思われているという自覚が必要かもしれません。

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