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債務名義=飛行機のeチケット説

 今日は,用事で学校に寄ったのですが,その際お世話になった民事系の先生とお話しする機会がありました。ワタクシはもう卒業していますので,学生には聞かせられない話も話してオッケーであるということで,先生が最近遭遇したトンデモ答案の話をうかがってきました。ワタクシはそのトンデモ答案の元になった問題を拝見していないので正確なところはわかりませんが,要するに「いついつ返すという約束でお金を貸したのだが,期日を過ぎてもいっこうに返してくれない。契約は執行証書にしてあるのだが,どうしたらいいだろうか。」みたいな話であったと推測されます。

 それでですね,民法の苦手なワタクシもあっと驚くあんなトンデモ答案,こんなトンデモ答案があったわけですが,それはさておきまして,意外に多かったのが「金銭消費貸借契約に基づく貸金返還請求訴訟を提起する」というミステイクだったそうです。

 「金銭消費貸借契約に基づく貸金返還請求訴訟を提起する」というアイディアのどこが間違いかというと,問題文には「契約は執行証書にしてある」とはっきり書いてあるところがミソなわけです。なぜ訴訟をするのか。それは最終的に強制執行で無理矢理お金を払ってもらうためです。訴訟で勝つと,勝訴判決をもらえます。この判決が確定すると,それは債務名義という強制執行のためのチケットになるわけです。そこで件の学生さんは訴訟と書いてしまったのでしょう。でもですね。執行証書も立派な債務名義なのであります。執行証書がもうあるんだから,わざわざ訴訟を起こさなくてもよかったのであります。弁護士さんが実務でコレやっちゃったらきっと切腹モノの大失敗であります。

 以上の話を譬え話を用いて書いてみますと,問題文は以下のように翻訳できるかもしれません。「私はロンドン行きのフライトのeチケットを持っています。今成田空港にいて,出発の2時間前です。ロンドンに行くにはこれからどうしたらよいでしょうか。」

 答えは,「パスポートとそのeチケットを持って,指定されたカウンターに行って下さい。そこでチェックインすると,ボーディングパスをもらえます。そしたらボーディングパスをもって搭乗ゲートに行けば,ロンドン行きの飛行機に乗せてくれますよ。」ということになりましょう。

 学生さんの答えは,「まずロンドン行きのチケットを予約します。」というところから始めてしまったのが間違いなわけです。チケットは,もうあるつーねん。

 では,執行証書がeチケットだとして,ボーディングパスは何でしょうか。それは,「執行文」というもので,執行証書の場合は,公証人が付与してくれるものです。つまり,執行証書の場合,指定されたチェックイン・カウンターは公証人ということですね。

 強制執行のチケットこと債務名義は7種類あって,民事執行法の22条に書いてありますので,興味がある方はご覧になってみて下さい。債務名義と執行文の両方を揃えて強制執行をしてもらえるようになります。

 強制執行なんて行政書士には関係ないやとお思いかもしれませんが,行政書士は契約書を作るのも仕事のうちであります。公証人さんのところで執行証書をこしらえるつもりで単なる公正証書を作ってしまった,なんてことになったら大変です。単なる公正証書は債務名義にはなりませんから,強制執行しようと思ったら訴訟をしなくてはならなくなります。ワタクシが依頼者だったら余計な手間ひま費用をかけさせやがった行政書士にキッチリ損害賠償請求するところでありますヨ。

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