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非イスラム教徒との婚姻を禁止する国の人との結婚

 今日は国際私法ネタをひとつ。国際結婚に関する本を読んでいますと,イスラム教徒でない者との婚姻は無効とする法律を持つ国の国民と日本人が結婚しようとする場合,日本人の方はイスラム教に改宗するようにとアドバイスしているものがあります。イスラム教に共感するなり,改宗くらいオッケー,とべつに気にしなかったりする方はさておいて,イスラム教に改宗するのは避けたいところであるが,改宗しないとどうなるのか気になるという向きもございましょう。

 婚姻の実質的成立要件については,法の適用に関する通則法(略称は通則法です,学校レベルでは)の24条1項に規定があって,各当事者の本国法によるとされています。そしてこれは各当事者の出身国の法律を累積適用する,つまり双方の法律の条件をクリアしないと無効であるとするのが通説のようです。そうすると,日本人の方は重婚でなく,待婚期間,婚姻年齢をクリアしていれば,あとは婚姻意思で実質的要件はオッケーですが(形式要件の婚姻届を忘れずに!),イスラム教徒の方は異教徒との婚姻は認められていませんから,条件をクリアできない。したがって改宗してから結婚しないと婚姻は無効ということになりそうです。

 でも改宗しないから結婚できませんなんてことが日本でまかり通るのも窮屈な話ですよね。下世話な表現を使うと,オイオイ,マジかよ,とドン引きしちゃう結論です。そう思った東京地裁がもっとお上品でアタマよさそうな表現を使ってですね,

単に異教徒間の婚姻であるというだけの理由で、日本人である原告とエジプト人である被告の婚姻を無効とすることは、信教の自由、法の下の平等などを定め、保障する我が国の法体系のもとにおいては、公序良俗に反するものと解さざるを得ない」(東京地判平成3年3月29日)

 として,この事案においての異教徒婚禁止規定の適用を排除しています。つまり婚姻成立です。これは地裁レベルの判決で,最高裁と比べると判例としての格がふたつくらい下がるんですが,まあワタクシが裁判官だったらやっぱりこんな判決書いちゃうかもです。もう一度同じ裁判を起こしたら,同じ判決が他所でもでる可能性はあります。保証はできないですけどね。

 じゃあいいじゃん,ワタシ改宗しなーい,という方,ちょっとタンマです。これはあくまで日本国内でのお話。相手のお国では婚姻不成立となることはいかんともしがたいのであります。となるとですね。あなたとお相手はその国では赤の他人ということになります。お相手のお国で暮らしてゆくつもりなら,お子さんは非嫡出子としていろいろ差別されるかもしれません。お相手があなたより先に亡くなった場合,相続ではあなたはお相手とは赤の他人として扱われますから,財産も残らないかもしれません。そういうリスクが考えられます。

 ワタクシだったら,そこらへんのことを説明して,依頼者に自分で決めてもらうんですけどね。うーむ。どこかワタクシが見落としている部分があるのかなぁ。読者様で,おわかりになるかた,おられませんか?

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