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開業妨害ツールとしての児童公園

 3月20日に最高裁で面白い判決がありました。裁判所ウェブサイトの再審判例ページからサマリーを引用しますと,次の通りです。

「パチンコ業者らが,風俗営業の許可に係る規制を利用して,競業者において購入した出店予定地での営業許可を受けることができないようにする意図の下に,社会福祉法人に児童遊園の土地等を寄附した行為が,不法行為を構成するとされた事例」

 児童遊園から100メートル以内ではパチンコ店を開業できないという風営法の規制を逆手に取って,児童遊園をこしらえて社会福祉法人に寄付することで新規参入業者が近所に開店するのを妨害しようとした既存業者のスキームが最高裁でポシャった事例であります。高裁まではうまくいっていたのに,残念でしたネ。

 発想はオリジナリティに溢れていて素晴らしいと思うんですよ。ワタクシもこういうオモシロ作戦を考えるのが大好きですので,同好の士として心からの賞賛を送りたいです。失敗したところを見ると詰めが甘かったんでしょうが,失敗は成功の母と申します。失敗の原因を究明することで,次回はよりよいスキームを作ることができるでしょう。

 さて今回の最高裁の判決をざっと眺めて思いますに,今回の敗因は開業妨害の意図が証拠から認定されたというところにあるようです。パチンコ店が社会福祉法人に公園を寄付なんて柄にもないやりなれないことを急にしたら,そりゃ怪しさ大爆発ですよね,普通は。なにか裏に意図があるんじゃないかと,誰だって思います。

 では怪しまれずにやるにはどうしたらよかったのでしょうか。ワタクシだったらとりあえず次のようなことをしてみます。

1)普段からこまめに寄付をする

 パチンコ店は地元からのウケがたいていよろしくありません。青少年に教育上よからぬ影響を及ぼすとか,騒音がするとか,治安が悪化するとか,地元住民はいろいろ心配するわけです。そこでイメージ向上のため,地元の社会福祉法人等に普段から寄付するようにして地元との良好な関係を構築・維持するよう努めます。

 ・・・ということにして普段から寄付をしておけば,イキナリ感はかなり薄れます。もちろんイメージアップのために寄付の事実を宣伝しておくことも忘れずに。税金も寄付控除がありますし,メリットいっぱい。ネスパ?

 そして,寄付を続けていくと,社会福祉法人等のニーズが見えてくるはずです。『こんな活動がしたい。でもお金も土地もないし・・・』こんな悩みは,絶対に寄付した団体のどこかが持ってるはずです。そこで児童遊園とか児童館とか保育所とか病院とかを作りたがっている社会福祉法人がいればチャンス到来です。自分のパチンコ店が制限区域に入らないことを確認して,ドーンとお金と土地を寄付ですよ。あとはこれを繰り返して,自分のパチンコ店を制限区域で包囲すれば完了です。

2)いっそ自分で社会福祉法人を作る

 判例に出てきたパチンコ店は,なぜ土地とお金を寄付せず公園を作ってから寄付したのでしょうか。これは想像ですが,土地とお金だけ寄付したのでは他の目的に使われてしまうかもしれない,と危惧したのではありますまいか。要するに急な話だったため,その社会福祉法人をコントロールできないところからくる不安がそうさせたように思われます。上述したこまめな寄付を通して徐々に信頼関係を醸成し,寄付の額を増やして経営上の影響力を強めつつ,理事達を巧みに誘導して自社利益にかなう事業に手を出させるよう導くのが常道なのでしょうが,いっそ自分のコントロールが及ぶ人たちを使って社会福祉法人を作っちゃどうですか。必要があれば間にいくつかダミー会社をかませるとかして。



 さて,今夜もヨタ話を炸裂させてしまいました。今回の最高裁判決,視点を変えるとまた重要なポイントがあるように思えました。最高裁は,寄付を受けた社会福祉法人に,共同不法行為が成立するかどうか検討する必要があるとしています。成立したらその社会福祉法人もパチンコ店と連帯して新規参入業者の被った損害(間違いなく多額でしょうな)を賠償しなきゃなりません。

 社会福祉のために活動する団体のみなさん。先に私が述べたヘッポコスキームのように,とんでもない下心を秘めた寄付もあるのです。目先の利益に目がくらむと,この事案のように大変なことになる場合もあります。気をつけましょう。

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